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税賠を取り扱う日税連保険サービスはこのほど、2024年7月からの1年間で保険金支払いの対象となった税賠事故のデータを公表した。それによれば、支払件数は683件(前年比108%)、支払金額は30億3200万円(同128%)で、どちらも過去最多の数字だった(グラフ)。
前年度は0件だった「1億円以上」の高額支払事故が2件発生し、計3億300万円の支払いが生じたことも数字を押し上げたが、それ以上に注目したいのは、支払金額「500万円未満」および「500万円以上1000万円未満」の比較的少額の支払件数が623件と、前年度から45件増えていることだ。税賠事故の増加の背景には、税制の複雑化もさることながら、納税者の権利意識の高まりなどがあるとみられる。さらにその遠因には、インターネットによって税務のセカンドオピニオンを得やすくなったことや、さらには生成AIの進化も無関係ではないかもしれない。金額からみると、支払金額1億円を超える大規模事故も、500万円に満たない小規模事故も増えている状況だ。
原因別にみると、例年と同様、消費税が43.5%と最多を占めた。ただし前年の48.7%からは減少している。法人税は全体の27.8%、所得税は同15.5%を占める割合で事故原因となっている。また、不正アクセスやランサムウェアなど企業を取り巻くサイバーリスクが増大していることを踏まえ、税賠保険では「情報漏えい・サイバーリスク担保特約」を設けているが、今回、同特約で初となる支払い事例が発生したという。この事例では、顧客情報を保存している税理士事務所内のPCがランサムウェアに感染し、事務所のサーバー内に置かれていた顧客情報を含むデータが外部流出した恐れが生じたという。結果的に顧客情報の漏えいはなかったため、損害賠償は発生しなかったが、サーバーやPCの被害調査にかかった費用として、250万円が保険金として支払われた。アサヒグループホールディングスやアスクルの事例を見るまでもなく、サイバーリスクは年々増大している状況であることを考えれば、同特約の対象となる保険事故が今後増えていく可能性は十分にあるだろう・・・(この先は紙面で…)
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