オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。専門記者による国税関連機関、税理士等への密着取材で培われた報道内容は、一般紙や経済・ビジネス雑誌では決して読むことはできません。

▼今週の注目記事  納税3876号1面より

税の専門家だって失敗する
うっかりミスで過大納税

 税理士は節税や間違いのない申告のための心強い存在だが、そんな税金の専門家であってもミスをすることはある。複雑な税制での誤りだけでなく、よくあるのは、単なる届出忘れといったイージーミスだ。税理士の失敗事例を反面教師にして、決して他人事ではない税務ミスについて、よくあるパターンを知っておきたい。

税賠の支払件数が過去最高に

 税の専門家でも税金に関するミスを犯すことを前提に、税理士業界には顧客からの損害賠償請求の負担を緩和する「税理士職業賠償責任保険」(税賠保険)がある。この税賠保険に加入しているのは、約3万1千人の税理士(開業税理士の約55%)と4500社の税理士法人(税理士法人本店の約88%)。ミスが発生する可能性は残念ながらゼロにできないことから、多くの税理士・税理士法人が賠償時の補償を求めている。

 日本税理士会連合会(日税連)は毎年、税賠保険の加入者が顧客から賠償請求を受けた事例を公表している。同様のミスが再発することのないように税理士に毎年注意喚起するのが公表の目的だが、経営者や経理担当者も同じ誤りをすることのないように参考にできるものだ。

 最新の2023年度版によれば、1年間に税賠保険で保険金が支払われた事故は633件(前年比28%増)、支払金額は23億7200万円(同32%増)に上る。どちらも過去最高で、背景には、税制の複雑化や、納税者の権利意識の高まりなどがあるとみられる。大半は支払金額500万円未満だが、1千万円を超える事故も55件発生しており、ひとつのミスが経営に関わるダメージに発展する可能性もゼロではない。

 毎年失敗事例が多い税目は、消費税だ。支払件数の約半数を占め、しかも難解な税務処理ではなく、単純ミスが目立つ。いまや所得税や法人税をしのぐ基幹税として成長した消費税は、税賠事故が起きた際の金額も決して小さくない。公開された事故事例では、1千万円を超える損害賠償請求がズラリと並んでいる・・・(この先は紙面で…)

購読のお申込みはこちらから>>