オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
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国内企業の組織再編を促して国際競争力を高めるため、「連結納税制度」が創設されたのが2002年のことだ。グループ内企業が一括して税務申告を行い、グループ全体で損益通算ができるというメリットがあった。ただ一方で、全体で合算して計算する項目が多いため、修正申告などが発生した場合にグループ企業全体で再計算を行わなければならず、事務負担が過大となる。これを重荷と感じたのか、同制度を適用する企業グループは国が期待していたほどには増えていない。制度開始から約20年が経過したが、適用企業は上場企業に限っても約2割程度にとどまる。
そこで、連結納税制度の「企業グループ内で損益通算ができる」という長所を残す一方で、煩雑だった部分を改善するという狙いのもと、22年4月にスタートしたのが「グループ通算制度」だ。前制度では、親法人が一括してグループ内企業の税務申告を行っていたが、新制度では各法人が個別に申告する点が最も大きな違いとなる。企業グループ内での損益や欠損金の通算を可能としながら、法人税の計算や申告納税はそれぞれの企業が行うことで、修正申告や税務調査によって更正処分が行われた場合でもグループ内の他法人の所得計算には影響しないのがグループ通算制度の長所といえる。
また連結納税制度の特徴だった研究開発税制や外国税額控除の控除額の拡大についても、これまでと同様にグループ内全体で通算して控除額を計算できる。なおグループ通算制度は強制適用ではなく、通算制度を適用するか、あるいはグループ内企業がそれぞれ単体で税務申告するかを選択可能だ。
連結納税制度が持っていたメリットはそのままで、デメリットが解消されるというのであれば、グループ通算制度は非常に魅力的な制度に映る。ただ何事にも、メリットだけではなくデメリットが存在する・・・(この先は紙面で…)